Bombye Japan Tour Log Vol.3

Bombye Japan Tour Log Vol.3

日本に来てから3日目。慌ただしくも充実の日本ツアーが確実に進行していた。ハラカドでのニックによるソロライブは彼の来日を待ち望んでいた人にとっては、たまらない瞬間だったのではないだろうか。

翌朝、名古屋での公演に向けてメンバーとカメラマン、スタッフ1名を乗せた車は名古屋へ向けて出発した。車内もそう広くはない。片道約4時間のロングドライブは彼らにとっては少し辛かったかもしれないが、その分、SAでの休息時間が少しのエピソードを生んでくれた。

コーヒーを飲んで一人ぷらぷらと時間を使うニック。ソフトクリームやどら焼き、おにぎりといったコンビニ定番リストをしっかりとこなすアンドリュー。サムはスタッフと一緒にお菓子を食べている。それぞれがそれぞれのスタイルを持っている。

どんどんと名古屋に近づいていき、途中、東名高速が海辺の脇を通る時間がくる。彼らは「ハワイみたい」と窓を開けて海の匂いを楽しんでいる。その姿に海のそばで生活している彼らのアイデンティティ的なものを感じた。

次第に雲行きが怪しくなり、名古屋市内に入ると同時に大粒の雨が降り出した。土曜日の夜に予定しているライブ会場の外は雨模様となった。

15時前に会場へ到着。さすがに彼らの顔にも若干の疲労が見えた。

普段はカフェとして営業している名古屋の会場には機材などは一切ないため、全てを自分たちで調達する必要があった。会場のスタッフ、演者全員で一から全てを作り込んでいく。

機材セッティング、音響調整が完了し、名古屋でのサウンドチェックが始まる。リハーサルの時点で質の高い音が鳴り響くと、初めてバンドでの音を聴く会場にいたスタッフ全員が、固唾を飲むように、作業を止めて聴き入っていた。

そうして、Bombyeとして初の日本での公演の準備が整った。

 

17時の開場とともにDJ KENTAのプレイとともに、お客さんを迎える。雨の中、熱心に足を運んでくれた方々には感謝しかない。18時の開演に向けてステージに目を向け、彼らの登場を待っている。

18時の開演を迎えた。I.S.OによるMCで開場全体が入り込んでいくのが分かった。今回のツアーでデュエットを依頼した菅原愛子さんのソロでのパフォーマンスを仕込んでいた。ソロの演出はツアーの中ではこの名古屋での公演だけだった。

名古屋での公演は東京の公演とは違った演出とロイヤリティを生み出したかった。東京でいくつかイベントを企画し実施してきたPOOL SIDEにとっては東京でのライブ開催は、"経験済み"であるが、名古屋での公演は未知数だった。だからこそ、ライブ以外のスペシャリティを盛り込み、「時間」を楽しんで欲しいというメッセージを込めた。

愛子さんのソロの時点ではBombyeとのデュエットを知っている人はいない。

良いムードの中、Bombyeが登場。

東京以外での公演はほぼ経験がないため、都外の人にとっては初めてのライブという人がほとんどだろう。生での演奏と歌声が鳴り響いた瞬間に、一気に会場全体の注目を集めた。静かながらもビックリするほどの同調感だ。

彼らのセットリストと持ち時間も名古屋公演だけは長く設定してあっただけに、名古屋公演に足を運んだ人は彼らの音楽のルーツとも言えるタイトルを堪能できたのではないだろうか。とは言え、彼らに用意したセットリスト(曲順)などはなく、一曲づつ小さい声で"次はこれ"と伝えあってライブを進行していく。全部の公演を見届けた私たちにとっては、その場の空気感、環境、熱気に合わせて見事なまでに曲をセレクトしていたように思える。

 

ライブは終演を迎えた。約1時間半のライブの後の表情は、さすがにやり切った感に溢れていた。写真撮影やサインなど自由に楽しむことのできる公演に設定したことで、ライブ後も会場全体が一体感のある空気になっていた。

激しい雨の降る尼ヶ坂。

適度な疲労と、無事初の公演を終えた安心感に包まれながら宿へと帰っていった。