Bombye Japan Tour Log Vol.6

Bombye Japan Tour Log Vol.6

Aloha Tokyo三日目。やっと"ハワイ"のような天候に朝から恵まれた。昨日までの雨模様が嘘かのように芝生の水分は乾き、新緑が会場を包んでいる。

朝から多くのお客様が恵比寿ガーデンプレイスを訪れていた。コーヒーショップやフードトラックには幾重にも重なる行列ができている。

 

Grass Pointにもライブの始まる前の早い時間からお客様が訪れていた。シートを敷いてピクニックを楽しむ人も、ベンチに腰掛け日陰で休む人も、それぞれの活用の仕方を楽しんでいるように見えた。

 

メインステージの設備とステージではなく、あえて会場の素材をそのまま生かす形での建て付けを心がけた。フェスで言うところのサブステージとしての存在を意識した。Aloha Tokyoのメイン会場では休む場所や、長時間滞在できる場所が少ない。その受け皿として自由に楽しめる広場をイメージした。

そのため、DJとライブパフォーマンスを小刻みに組み込むのではなく、時間にゆとりを持たせたタイムテーブルを組んだ。いわゆる、"丁度いい場所"を作りたかった。

暖かい陽射しが降り注ぐ正午頃、DJタイムからスタートした。

DJ Ogiがハワイの音楽を心地よくセレクトしていく。DJをしていてもなかなか味わうことのできないオープンエアーな環境でのプレイ。最初は緊張した表情を見せていたものの、1時間も経てば楽しんでいるように伺えた。

 

次のパフォーマンスをしてくれるMOSもPOOL SIDEと関係値のあるアーティストの1組だ。メンバーそれぞれがお店に足を運んでくれ、今の時代には珍しくも思えるほどの懐の深さを持っている。

管楽器を扱う4人で構成された彼女達はアメリカの人気オーディション番組でもある「American Got Talent」でその名を日本中に広めた。もちろん、言うまでもなく実力は折り紙付きで、何度かライブに足を運んだが、そのパフォーマンスとクオリティは圧巻だった。ステージとオフシーンでの存在感の大きさと逞しさのギャップには本当に脅かせられる。数々の大舞台を経験してきている彼女達にとっては少し物足りないステージだっただろう。しかし、快くオファーを引き受けてくれたことには感謝しかない。

ステージを演出する上で"よくある型"や"いつものパターン"をいい意味で裏切りたかった。そして、見に来てくれた方々がリーチできていないパフォーマンスをするアーティストの素晴らしさを共感したかったからだ。

晴天の空の元、管楽器の音が鳴り響く。子供も大人も会場にいた全員がそのパフォーマンスを楽しんでいた。嬉しいことに、多くの人がGrass Pointに集まり、パンク寸前だった。

続いてのパフォーマンスはDJ KAWASAKIによるDJセット。DJというプレーヤーとしてだけでなく、制作側という面を持つKAWASAKIさんの選曲幅と音楽に対する解釈は、プレーヤーだけではないからこその面白さがある。視野の広さはもちろんだが、曲やタイトルという体形付けられた物に縛られない"音"を捉えている。心地よいサウンドと天気にビールが進む。

POOL SIDEがぜひ出演してほしかったアーティストの一人がHanah Springさん。実力と歌声はさることながら、作り出す空気感が、Aloha Tokyoにベストマッチするように思えた。

歌が上手いだけではない。聴く人、見る人を虜にすることのできる数少ないアーティストだ。これが本当に難しい。歌が上手いだけの人なら沢山いるのだが、ハートに直接、音と声と言葉を届け、琴線に触れることのできるアーティストはそういない。

そしてNick Kurosawaのライブ前のDJで会場を作り込んでいくのはDJ KENTAさんだ。制作を共に行なっているというストーリーもあることから、ラストまでの流れは説明不要だった。精巧なプレイと確かな選曲は説明するまでもなく、そりゃ全国のミュージックラヴァーを唸らせるわけだと納得させられる。

会場にも多くの人が集まる。

ここで・・・雨が降ってきた。芝生で座って食事やお酒を楽しんでいる方々が次々と会場を後にする。ここまで雨に悩まされるのかと打ちひしがれそうになったところ、晴れ間を取り戻した。少しばかりひんやりと気温に下がり、雨水で芝生に座ることができなくなってしまったのが悔やまれる。

 

しかし、DJ KENTAのプレイで会場の熱気を取り戻す。

いい空気のまま、ニックの時間を迎えた。いつもの通り、彼のパフォーマンスを楽しむだけだった。

細かなことを言葉にするのは少々野暮に感じる。

彼の来日を待ち侘びていた人、彼の音楽を楽しみにしていた人、会ってみたかった人、ハワイでいつも会う人、友人、POOL SIDEのお客さん、レーベルメイト etc...

それぞれが、それぞれのライブに足を運ぶ理由を持っていた。会場の空気は人の暖かさと、心地よい情熱で溢れていたような気がする。そんな景色を見ることができただけで、彼らを日本へ連れてきた意味を感じることができた。

なぜ彼らを日本へ呼ぶのか、呼ぶ必要はあるのか、呼ばなきゃいけないのか。こちらにとっては、リスクもあれば、ツアーを開催することすら未経験だ。決断を下す前に何度も考えた。その答えを、Aloha Tokyo最終日の最終公演後に見つけたような気がする。

POOL SIDEも一仕事を終えた。

熱も高くなる頃、いよいよツアーもファイナルへ向かっていく。