名古屋から東京へ戻り、次のライブまで少し時間に余裕ができた。
翌日に控えていたInter FMでのラジオ出演以外に予定は無く、メンバーはそれぞれの日本での時間を過ごしていた。新宿、渋谷、秋葉原・・・各々の行きたい場所へ足を伸ばしていた。
一方、POOL SIDEチームは、Aloha Tokyoでの出店準備もあり、慌ただしい日々を過ごしていた。一年に一度の楽しみにしていたイベントでもあるAloha Tokyoを待ち遠しく思っていたが、あっという間に目の前に現れた。今年はBombyeとともに過ごすとなれば、例年以上に熱もこもった。
5/30(金)にスタートし、恵比寿ガーデンプレイスにて三日間開催されるAloha Tokyo 2025。天気予報は雨マーク・・・今となればここまで天候に泣かされた年はなかっただろう。少々の雨だけならいいが、強風と合わさり、肌寒さすら感じる悪天候の中、イベントがスタートした。
Aloha Tokyoでの出演はBombyeではなく、Nick Kurosawaのソロ公演を予定していた。出演は二日目と三日目。会場は今年より新設されたGrass Point(グラスポイント)だった。メインステージとは違い、芝生の広場にオープンエアーなステージを組み立てるセッティングのため、雨が降れば"中止"を余儀なくされる。
二日目はYour Song Is GoodのChill&Dubとのコラボ、三日目はGrass Pointのトリを務めるタイムテーブルだ。特に、日本でニックの名前を知らしめることになった「We're Not To Blame」は待ち望んでいた人も多かったのではないだろうか。
Grass Pointでのライブ開催は容易ではなかった。Aloha Tokyo実行委員と何度もミーティングと現調を重ねた。どんな会場にして、どんな空間を作るのか。コンセプトに合わせて、どんなアーティストを招いて、どんなステージと機材を揃えるのか。短期間の中で、全てを一つ一つ作り上げていった。ニックのソロステージだけは譲ることができなかった。
雨が降り頻る、金曜の夜。
運営側の判断は早く、金曜日の夜の段階で土曜日のGrass Pointでのライブは全て中止が発表された。楽しみにしていたイベントの一つが中止となった。
金曜日の深夜、公式アナウンスがあり、土曜日の出演者が体調不良によりキャンセルが出たとのこと。可能性を信じているところに、出演のオファーが舞い込んだ。メインステージでのアクトが急に目の前に現れたのだ。ニック本人はいつものテンションで「オッケーやるよ〜」とこちらの興奮を嗜めるかのように普段通りだった。こちらのテンションと労力を返してほしい(笑)
土曜日を迎え、POOL SIDEスタッフ一同少しだけソワソワしている。これほど多くの人の目にふれる環境での日本でのライブはニックにとって初めてだった。
その日は夕方から日本橋JAZZ FESTIVALへの出演が控えていたためスケジュールが少しタイトだった。Your Song Is Goodにとっても翌日に大阪でのワンマンライブを控えていたため、慌ただしい時間となった。メインステージでのリハ→本番は急ピッチで行われた。
メインステージは屋根がついているとはいえど、横殴りの雨が吹き込んでくる。
ハワイの空気感とは相反するようなコンディションの中、ライブは始まった。始まってしまえば、プロのステージパフォーマンスに見惚れるばかりで、天気のことなど忘れてしまった。
ニックにとって納得のパフォーマンスだったのか、そうでなかったのかはわからない。ただ、待ち望んでいた我々にとっては、あっという間の時間だった。
ライブ終了後の歓談を足早に済ませ、日本橋のジャズフェス会場へ向かった。余韻に浸る暇もなかったが、その瞬間に起きていた全てのシーンをはっきりと覚えている。
日本橋ジャズフェスのDay2のトリをBombyeが務める。名手DJ Neil Armstrongの後を担った。季節外れの寒さの中での野外公演は、南国ホームの彼らには少し辛そうだったが、始まってしまえばお手のものといった感じだった。
ニックの名前も知らなければ、Bombyeの名前も知らない聴衆が出音から耳を惹きつけられている。ここで彼らの音楽に出会った方々が、後のライブにも足を運んでくれたのだから、きっと彼らの音楽が届いたのだろう。
天候に恵まれないながらも、良い土曜日になった。
POOL SIDEにとっては一年の一大行事でもある、Aloha Tokyo最終日が控えていた。雨に包まれた二日間を嘲笑うかのような晴天で三日目を迎えるのだった。